いつまでも、どこまでも。
唐草文様のルーツを辿ってみれば、実ははるか紀元前のギリシャ・ローマ、果てはエジプトにまで行き着いてしまいます。 そこから時を経て地域を越えて、少しずつかたちを変えながらシルクロードを通り、はるばる日本にまで渡って来たこの唐草文様、 よくよく考えてみれば「唐草」の「唐」という字も「唐辛子」や「唐様(からよう)の」といった言葉にもあるように、 昔の中国のことやもしくは「外国から舶来した」という意味で使われていた文字ですから、その名前からも本当の元々は日本の文様ではないということが伺い知れますね。
初めて日本に入って来た頃の唐草文様がどのように受け止められていたのかは分かりませんが、 どんどん成長し、どこまでも果てしなく伸びていく蔓(つる)の姿に、いつの間にか「家が代々続いていきますように」とか「長生きしますように」というような 「いつまでもどこまでも」という不断長久・長寿の願いを込めて使われるようになり、立派に日本の吉祥文様の仲間入りを果たしました。(´ー`)
泥棒のイメージはなぜ??
風呂敷と言えばまず頭に浮かぶのが、緑地に白の唐草の風呂敷、ですよね? 昭和の始めに生まれたあの唐草の風呂敷は、当時の最先端の染色技術を用いてとにかく大量生産され、一時は街角のタバコ屋さんでも売られていたほど普及していたそうです。風呂敷自体、その当時はどこの家にも数えきれないほど何枚もあるというような身近なものでしたし、第一、今ほど宅配便も発達していない時代です、何かモノを運ぶとなれば 必ずと言って良いほど風呂敷を使う時代でした。空き巣に入った泥棒も、家の押し入れや箪笥の中をひと通り物色したあと、用意していた自前の風呂敷や物色ついでに見つけた風呂敷に包んで持って帰ったそうです。本当にあの唐草文様の風呂敷を使っていたのかどうか定かではありませんが、漫画や劇中の泥棒があの唐草の風呂敷とともに描かれることが多かったため、いつの間にやら「泥棒=風呂敷=唐草」の構図ができてしまったようで…。
でも、掛札の珍しい色合いの唐草の風呂敷を見て、お客さんは「え〜っ!ぜんぜん泥棒じゃない!」って言うてくれはります。(^∀^)
泥棒のみなさま、金目のモノを探しているクローゼットから出てきた風呂敷が、もしもウチの唐草文様の風呂敷でしたら、それに獲物を包んで持って帰るのだけはご遠慮下さいね。「オシャレな泥棒さん」ではかえって人目を引いてしまいますよー。(´з`)