どこまでも続く「末広がり」の穏やかな波。
どこまでも広がる大海原と、絶え間なく寄せ来る波。いつも静かに、そして時には荒れ狂う海のその表情からは、昔より数多くのさまざまな文様が作り出されてきました。
その中でも、穏やかな海の様子として描かれるこの青海波の文様は、波のうねりを表す半円が重なり合って扇形になり、そしてそれがどこまでも続いていく模様。静かな海のように平穏無事な日々の暮らしが、いつまでもずっと続くことを祈るとともに、「扇」というのもまた末広がりのそのかたちから「寿恵廣(すえひろ)」とも呼ばれる縁起物。「水」の持つ浄め(きよめ)や厄除けの力など、ひとつの文様の中に幾つもの吉祥の意味を見出していたと考えられます。
一方、荒ぶる波を文様に描く時には「こんなふうに力強い男の子に育ちますように」という願いを込めて描きます。・・なんとも都合がいいというか、ものは捉えよう。(^ヮ^;)
げんかつぎ=ポジティブシンキングということですかねぇ。
しかしまぁ何と言っても、海が見せるいろいろな顔に人々が魅了されるその気持ちは、昔も今も変わりないのでしょう。
由来はともあれ・・
青海波の文様に似た、同心円を重ねたような模様もやはり世界の各地に見られる幾何学文様で、初めはもう少し写実的に波を描いていたものが単純化されて今のかたちに変わってきたようです。
日本では古くは古墳から出土した埴輪(はにわ)の胴体の模様にも見られますが、このころはまだ「波」という意味よりも 単なる模様として付けられていた可能性が高く、この文様が水を表すものとして描かれるようになったのは鎌倉時代以降と考えられています。
文様の名前は、源氏物語にも登場する雅楽の舞曲「青海波」の名前に由来していると言われ、江戸時代以降はこの曲を舞う際に舞人が身につける衣装に青海波の文様が描かれていますが、一説には元禄時代の漆工家「青海勘七(あおみかんしち)」という職人さんが しょっちゅうこの模様を描いたことから青海波と呼ばれるようになったというお話もあります。
さてさて、正しい由来がどうなのかは難しいものですが、今でも海産物の包装紙などにもよく見かける青海波の文様。ろくでもないニュースが多い世の中、本当に穏やかで平和な毎日がいつまでも続いていってほしいものです。(/д\)