亀は神さま。
「玄武(げんぶ)」という想像上の生き物をご存知でしょうか?
最近では奈良県明日香村の高松塚古墳やキトラ古墳の壁画でも有名になってきましたが、昔から中国・朝鮮・日本において伝統的に信じられてきた天の四方の方角を司る四神(四神獣)というのがありまして、東方は青龍、西方は白虎、南方に朱雀、北方にはその玄武という神獣がそれぞれを守っている(?)という考えです。
これは中国の五行思想から・・うんぬんかんぬん、難しくなる上に専門外なのでここらでやめておきますが、亀に蛇が絡みついた姿で描かれるその「玄武」になぞらえて亀を神さまとして扱ったり、「亀卜(きぼく)」といって、亀の甲羅を焼いてそのひび割れの方向で吉凶を占うなど、 亀は神さまの意志を伝える生き物とも考えられていたようです。
「六角」ではなく「亀甲」って呼ぶあたりがげんかつぎ。
正六角形の並んだ幾何学模様自体は、もとは西アジアに起こったそうで、唐草などの他の文様と同じくシルクロードを中国や朝鮮から日本に伝わりました。
この模様は、英語圏では蜂の巣に見立てて「ビーハイヴ・パターン(beehive pattern)」などと呼ばれる事もありますが、 日本では神さまと縁深い亀の姿に例えた「亀甲」という名前を付けることで、単なる幾何学模様に吉祥文様としての意味合いが加わったのでしょう。
ちなみに。
「鶴は千年、亀は万年」と言いますが亀のご長寿最高記録は 2006年6月24日にオーストラリアの動物園で飼われていた推定172歳(!)のゾウガメ「ハリエット」さん(♀)が 心不全でお亡くなりになった(もはやこの言い方がふさわしいでしょう!)という記録だそうですが、ハリエットお婆さんは「進化論」で有名なダーウィンがガラパゴス諸島から連れてきてロンドンで飼育しはじめた亀だとも言われているそうで、正確な寿命はさらに数年長いと考えられているそうです。
さすがに1万年とまではいきませんが、たしかに長生きな亀さんですねぇ。(´ー`)