雨雨降れ降れもっと降れ。
日本で四角い渦巻の文様を雷に見立てるのは中国の文様の影響なのですが、「雷文」は最も古くからある文様のひとつで、 中国では殷の時代(紀元前16〜11世紀頃)から始まり、今でもいろんな身近なものに使用されています。 日本人でもひとつは知っていますよ。そう、ラーメン鉢のふちの例のアレです。意外に身時かなところにもありましたねぇ。 あのように二つ繋げて「雷文」一組とするのが中国式で、渦巻き一つを「雷文」の基本形として使うのが日本式。 日本式の「雷文」を格子状に並べたものが雷格子です。
雷が吉祥文様?すぐにはピンとこないかもしれませんね。あの怖い雷のどこが「ハッピー」なんでしょう? そこには、現代の都会暮らしからでは想像もつかない理由がありました。
空を裂くように雷光が走り、雷が鳴り響いて雨を呼び、降りそそいだ雨は大地を潤し、それはやがて田畑の豊作をもたらします。 科学の発達した今でさえ、気候や自然現象の前に人間の無力さを感じることはよくありますが、 昔はとにかくもう神様に祈るしか手がなかったのですから、日照りが続けば「雨乞い」をしていた時代です。 そんな頃、雷はあがないようのない自然の脅威でありながら、米作りや畑仕事を営んでいた人びとにとっては恵みの兆しでも ありました。
雷文様は五穀豊穣・豊年満作を祈った文様。やはりこれもひとつの吉祥文様なのです。
怖いのは「地震・雷・火事・親父」、
男にとってはプラス「奥さん」?
日本では能や狂言で荒々しい役柄の装束に用いられるほか、雷のそのすさまじい強さにあやかってでしょうか、 「雷文」を一族の家紋に用いる武家もありました。一説には、龍の姿を幾何学文様にあらわしているとも言われますが、 どちらにしても雨、雲、荒れ狂う空の様子につながります。 今のように科学的に解明されていなかった時代の「おてんとさま」への畏敬の念が込められているようですね。
雷光のことを稲妻と言いますが、その語源は読んで字のごとく「稲の妻」から来ています。 雨をもたらして稲を育ててくれるのは嬉しいことですが、ゴロピカドーン!はちょっと怖い・・。(汗)
とは言うものの、おしとやかで優しい奥さんのほうががいいなんて思ってみても、 まだまだ青い旦那さんを黄金色に実らせるのはやっぱりそういう奥さんですかねぇ。(´з`)